おばあちゃん 2019.8.27

最近、朝早く起き、家を出て仕事場に行くのが日課になっている。
1人で集中できる時間を作るためです。
朝の時間に集中してできることを少しずつ進めています。
実際は中々進まないのですが、、
静かなこの時間がとても好きです。

だいたい6時半くらいにおばあちゃんが階段を降りる音が聞こえてくる。
マエダ特殊印刷は1階が仕事場で2階が住居の
昔ながらの工場によくある構造になっている。
92になったおばあちゃんが
1人で這うように2階から階段を降り、1階の仕事場に来る。

「今日は早いのねぇ 新聞あるかしら?」

と僕に声をかけ新聞を取ってまた自分の足で階段を上っていく。

15分後

またおばあちゃんの足音。

「あら今日は早いのねぇ 新聞あるかしら」
「おばあちゃん、さっき持っていったよ」
「そうだったかしら忘れちゃった」
と可愛く笑いながら去っていく。

また15分後、そのまた15分後、現れる。
平均して
毎朝3回〜4回は新聞を取りに来る

その都度階段の上り降りを自力で行う。
はじめは危ないからと届けに行くよと言ったこともあるけれど
それも忘れてしまう。
ずっと見張っているわけにもいかないので、
おばあちゃんの好きなようにしてもらっている。

忘れることが多くなった、おばあちゃん。
ただ忘れないこともある。

他の人はどうかはわからないけれど、
昔から習慣でやっていることは忘れないようだ。
単なる記憶ではなく行動を伴っていることが多い。新聞を取りに行く。
ゴミを捨てに外へでる。曜日は間違っているけれど、、
あとシールを作った後に出る端の部分やいらなくなったシールをゴミ箱から拾う。
そのシールを洋服のゴミ取りに使っている。
などなど、、
脳が指令をだすのか、身体が先に勝手に動くのかわからないけど、
昔から日々やっている行動は大抵忘れないし、だいたい一人でおこなう。

それが、たまに朝新聞を取りに来ない日がある。
僕としては1人で仕事が出来て集中できるはずなのですが
だんだん不安になってくる。
どうしたのか?っと思い結局仕事が手につかない。
不安になって上へ上がってみると
大抵、歯を磨いている。
心の中で、「歯磨きなーんかーい目!」と笑う。
現におばあちゃんのは全て自分の歯で、一本も歯が抜けていない。
92歳ではまずいないらしい。昔からこまめに磨いていたのだろう。
これも行動の記憶。


最近の朝は、早く新聞を取りに来ないかなぁと
おばあちゃん待ちの自分がいて、なんだかおもしろい。

歳を追うごとに優しく可愛らしくなっていくおばあちゃん。
そして僕よりもご飯を食べる時がある。まだまだ元気。
いつまでも元気でいてほしい。
階段はこわいけど、できる限り自分の足で動き回ってほしい。

僕が、おじいちゃんになったら、一体何を忘れないでいることができるのだろう。
なんだか怖いようで楽しみ。それも行動の積み重ねが必要。おばあちゃんからの学びでした。

すこし若い時のおばあちゃん。